映画「聖の青春」のあらすじ、ネタバレ・感想
今回は2016年11月19日公開の映画『聖の青春』のあらすじ、ネタバレ・感想についてまとめます。
「聖の青春」はどのような映画なのか?キャストや監督などの情報を最初にまとめます。次にちょっとしたあらすじやネタバレ情報。最後に実際に映画を見た感想に続きます。
最後の感想は映画「聖の青春」が公開され、私が見た後になります。映画を見てから編集するまでに時間差があるかもしれませんが御了承ください。また、実際に、映画「聖の青春」を見る人のために、完全なネタバレは避けています。多少なりともぼやかした表現が多くなるかもしれませんがその点も含んでください。
ちなみに、この感想を書くのはサポーターの「マッキー」です。映画大好きな大阪女子。映画が好きすぎて以前は映画館に勤めていました。そんな私のがまとめる映画のあらすじ、ネタバレ、感想を確認ください。はたして私はこの映画をお薦めするのでしょうか!?最後までしっかりと確認してくださいね。
目次
映画「聖の青春」のキャスト、公開日について
2016年11月公開映画『聖の青春』のキャスト、公開日は以下の通りです。
キャスト
【村山聖役】
松山ケンイチ
【羽生善治役】
東出昌大
【森信雄(聖の師匠)役】
リリー・フランキー
【聖の母・トミ子】
竹下景子
【聖の父・伸一】
北見敏之
【弟弟子・江川貢】
染谷将太
【病床の村山をサポートするプロ棋士・橘正一郎(モデルは滝誠一郎)】
安田顕
【東京にきた聖と交流するプロ棋士・荒崎学(モデルは先崎学)】
柄本時生
監督
森義隆(宇宙兄弟などアニメ実写化に定評あり)
公開日
2016年11月19日
映画「聖の青春に」あらすじ、感想(公開前)、見どころなど
では次に2016年11月公開映画「聖の青春」のあらすじ、公開前の感想(見どころ)などをまとめます。
あらすじ
幼い頃から腎臓にネフローゼという難病を抱えていた村山聖は、入退院を繰り返す中で父から教わった将棋に心を奪われる。
やがてプロ棋士を目指すためのちの師匠である森信雄に出会い、彼に支えられながら将棋に打ち込んでいった。
羽生善治ら同世代のライバル棋士たちと死闘を繰り広げ、まさに命を削りながら将棋を指した村山聖だったが、一方で彼の体をガンが蝕んでいった…
公開前の感想、見どころ
とうとう待ちに待った公開日が近づいてまいりました、『聖の青春』!
本当にね、第一報があってからめっちゃ待ちましたよ、、、主演の松山ケンイチが発表されてから続報もなかなかなくって気が気じゃなかったですよ、マジで。
こんなに期待している通り、原作は数年前に既読済み。2001年に放送された藤原竜也主演のドラマ版も視聴済み。あ、奇しくも主演はデスノートコンビですねw
本作で描かれる村山聖九段については、残念ながら実際将棋を指しているところをテレビでも拝見したことはないのですが、彼の生き様や残った映像などはよくよく調べていたことも、、、
なんと言いますか、本当に劇的なんですよね。こんな風に実際の人物を評していいのかどうか不安になりますが、それでも村山の人生は心を揺さぶるものがあります。
日本人がこの手の話を好きすぎるっていう、あんまり褒められた話じゃない側面もあるとは思いますが(汗)それでも、彼の人生が壮絶であったことには変わりないし、与えた影響も大きなものだったと思います。
そして予告編で初めて羽生善治役の東出昌大を見たのですが、予想以上に似ていて笑いましたw動いたところ早く見たいですねぇ。
原作を考えるにそれほど長く出演している役どころではありませんが、やはり誰でも知っている人物(しかも生きてる)を演じるのは非常に難しい!少しでもイメージが違えば作品としても影響を及ぼしてしまいそうなので、上手くやってくださってることを期待したい。
ちなみに最近アニメ化された『3月のライオン』という将棋漫画があります。こちらの作品に二海堂晴信というキャラクターがいますが、彼のモデルは村山と言われています。映画・アニメと同時期に発表されたのは、もしかして示し合わせたのかな?3月のライオンは実写映画も予定されていますが、そういえば二階堂のキャストはまだ発表されてないなぁ。誰だろう。
なお、村山聖についてその生涯をまとめている記事があるのでそちらも参考にしてください。何故、羽生と並び証されたのか?などが分かると思います。
映画『聖の青春』の感想(ネタバレ注意)
さて今回ネタバレ批評いたしますのは、『聖の青春』です。
いよいよ公開されました、『聖の青春』、、、いやぁ、かなり待ってましたよ。本当に待ってましたよ。
将棋と言ったら羽生善治、なんていうのは一般の方々だって知っている事実。では他に棋士の名前言えますか?と言われるとなかなか出て来ないのが実情ですよね。あって最近テレビとかに出てることも多い加藤一二三かな。でも棋士って思われてない気がすんだよなぁ、ひふみん(笑)
そんな中で、将棋をよく知らない人でも一度は耳にしたことがあるかもしれない人と言えば、この映画の主人公「村山聖」なのではないでしょうか。さとし、と読みます。私最初ひじりって読んでましたw
恐らくハブゼン程に一般周知は高くない。それでも一度知ってしまったら、彼の生き方に何かしらの想いを抱いてしまう、そんな人です。そんな人の映画が、とうとう公開されました。さて、どんな映画に仕上がっていたのでしょうか。
■これはいい意味で再現VRだ!
村山聖が棋士として活躍した時代は平成。亡くなってしまっているとは言ってもそれは夭逝であったからであって、決して過去の、歴史上の人ではないのです。なので幸か不幸か映像が多く残っています。それと簡単に比べることが出来ちゃうんですよね。
松山ケンイチは村山を演じるにあたり20kgの増量を図りました。そのためまだこの映画の主演が発表されていない時期にテレビに出た時、何も知らない視聴者からは「幸せ太りか」と揶揄されてたんですよね。
その後主演の発表がなされ、結局役作りであったことが発覚して一段落。一時は自己管理の不味さまで囁かれていましたが、むしろ管理した結果があれだったわけで、その意気込みの強さを感じさせてくれました。
けど、これは逆に言うと手が抜けないってことでもあると思うんですよ。
歴史上の人物なんかは特段美形の記述が残っていない人物であっても、映画の主役にするからには多少なりと脚色が加えられます。何せ本来一般人よりも見目がいい俳優さんが演じるわけですから、格好良くなってしまうのは当然と言えます。たとえば沖田総司がイケメンであっても誰も怒りませんよね?
でも村山は写真が残っている。映像が残っている。俳優が演じるのだから、映画の主役なのだからという理由でその像を壊してはいけないわけです。そこをね、本当に大事にしてくれたと思います。
自分的に一番すごいって思ったのは、やっぱり羽生善治役の東出昌大ですね。東出昌大はそれほど演技が上手いと思ったことはなかったのですが、これには圧倒されました。最後の村山vs羽生のシーンがね!もうね!3時間長回しで撮影されたそうですが、台詞もないのにその鬼気迫る感情が画面から伝わってきて……そこに村山と羽生がいたんですよ、マジで。
外見も内面も、すべてその人が下りてきたように思いました。いや、羽生さんはご健在ですけども!
■ドラマではなく日常
映画としては、ドラマとしてではなくむしろジャンルはドキュメンタリーと言っていいと思います。原作は第三者の視点から描かれているせいかもう少しウェットなのですが、その主観がいい感じに洗練されていたように感じました。
もっとね、泣けよ泣けよってごりごり押してくるかと思ってたんですよ。題材的にもそうだし、邦画だし(笑)それが嫌いなわけではないんですが、過剰に描きすぎて「その人」が無くなってしまうのはまだ早いかなって思ってただけにこれは嬉しかった。
あくまでまだ、最近までそこにいた人の話であって欲しくて。最早「物語」になってしまうと村山聖って人が解らなくなってしまうような気がして、まだご両親がご健在なのにそれは嫌だなぁって思ってたから。
いい意味で裏切られました。そして、そうやって日々が淡々と過ぎて行くことに、逆に寂しくなって、、、そういやこの感覚最近どっかで味わったな?て思ったら、先週感想書いた『この世界の片隅に』がそうでした。うん、なんか同じテンションなんだよな。
(参考:映画「この世界の片隅に」のあらすじ、ネタバレ・感想、公開日、上映館)
「運命の日」があらかじめ決まっていて、そこへ向かっていく話。結末ありきのストーリーは、終盤になればなるほど身動きがとれなくなって縮こまることがあったりするんですけど、、、この映画は、解っているからこその演出をしていたように思います。悲しいシーンはほとんどないのに、悲しいことが起こる前提での熱い話なので泣けてくる。
ただ「知ってること」を前提とした作りであったのも否めないかな?村山聖という人がいて、難病の天才棋士であって、若くして亡くなった、それをちゃんと理解した状態で見ないと、もしかすると置いてきぼりをくらうかも、、、
■見どころその1(負けることについて)
この映画を見て、印象に残ったことの一つが「負け」ということです。この映画のテーマの一つになっていたと思います。将棋は残酷なもので最後は「負けました」と自分から言わなければいけない。この言葉を絞り出すことが、とにかくつらい。それは将棋に打ち込めば打ち込むほど、強くなれば強くなるほどつらさが大きくなる。本当に残酷そのものです。
映画の中ではたくさんの人の負けざまが描かれています。負ける前に涙がこらえなくなる人、最後に気持ちを落ち着かせるために席を立って戻ってから「負けました」を言う人。死にそうな気持ちで「負けました」を最後に言って自分の負けを認めます。本来ならば将棋盤をひっくり返したいの気持ちを押し殺して静かに投了し負けを認める、そんな人たちの負けざま(死にざま?)が見どころの1つだと思います。
そして、天才羽生も村山に対して「私は今日あなたに負けて死ぬほど悔しい」と淡々と、しかしながら力強く言います。おそらくは村山聖も同じ気持ちなのでしょう。
そもそも将棋は戦争であり「負け」=「死」(恐怖、絶望など)という究極の形を表現しています。将棋はゲームの1つではありますがやはり命がけ。それが映画の中でも出ていたように感じます。
とにかく負けたくない。負けたくない。負けたくない、、、。
その「負けたくない」という気持ちがこもったそれぞれの対決シーンは村山vs羽生の対局もそうですが、それ以外の対局でも見ものです。
■見どころその2(村山vs羽生の対決シーン)
それを含めても、やはり一番の見どころは村山vs羽生の対決シーンでしょう。この2人の対決シーンはいくつか出てくるのですが、それぞれに感動します。
その中でも最後のシーンは凄まじい。先にも東出昌大の演技について触れましたが鬼気迫る表情が凄いです。羽生も村山も「負けたくない」という気持ちが強く出ていて見ていて圧倒されました。
あとは細かいところですが、とある村山vs羽生の対決シーンで村山は体調が悪く一旦席を立ちます。そして、体調が少し落ち着いた時に戻ってきます。その時に羽生が外の景色を見ているシーンが印象的でした。羽生は村山の体調が悪くないことを知っていたのでしょう。村山が戻ってきてから次の一手を指します。
相手がいないうちに指せば、その相手が戻ってくるまでは相手の消費時間が短くなるので絶対的に有利。特に村山のような長期戦が厳しい相手を時間でゆさぶれるので有利なのですがそれをしかなった。逆に自分の時間を消費させた。そこに羽生の「この相手には絶対に負けたくはない。しかしながら正々堂々戦いたい」という気持ちを感じました。ただし、これは考えすぎかもしれませんけど。
■見どころその3(おまけ)
最初に断っておきますがこれはどうでもいい話かも?
山崎隆之八段(村山聖の弟弟子)がカメオ出演していたらしいです。これは気が付かなかった(笑)。将棋会館の受付にいたらしい。はて、どのシーンだろう?ごめんなさい。ちょっと思い出せません。
これから映画「聖の青春」を見る人はどこに出ているのかチェックするといいかも?
(写真引用元:将棋連盟データベース)
■見どころその4(さらにおまけ)
村山聖という人間は本当につかみどころがありません。死に向き合っているかと思いきや実は酒や麻雀など体に悪いこともやる。全てに一生懸命。
そして漫画や小説が好き。少女漫画も好き。少女漫画のような恋愛もしていたいという普通の青年でもありました。最後に古本屋さんに寄るシーンは小説などになかったのですがちょっと印象的でした。
実際の村山聖は女性の前に出るのは凄く嫌がっていました。面と向かって話しして、嫌われるのが怖いといった感じのシャイな人間。古本屋が実際に存在していたのかどうかは知りませんが普通に女の子としゃべることができる唯一の青春を感じられる空間だったのかもしれません。
最強とも言われた男の変な一面ではありますがなんともユーモラスなかわいいところもあるということで、その点もチェックしてもらいたいです。この点はどーでもいいと言えばどうでもいいことかもしれませんけど。
■最後に
待ちに待った映画化であっただけに、色々懸念していた部分もありました。自分の感情的な意味でw面倒くさい原作ファンになっちゃうかもなぁって思ってましたが、杞憂で済んでよかったです!
ただ上でも言いましたが、多少ファンムービーに寄ってしまった部分もあったのかなとは感じました。原作ファン側が満足する為に、手順を省略した部分もちょーっと気になった?かな?
それでも、今年を代表する映画だという気持ちは変わりません。ファンの欲目であっても、私は『聖の青春』を押すぞ!!
しかし今年の邦画の豊作っぷりはなんなんだろうな、、、ハリウッドに張り合わなくなったからかな(笑)過剰に加えていた部分を削ぎ落として、一番描きたい部分に全力で突っ込む!そういう映画が増えたからかもしれません。
『聖の青春』の全力は間違いなく終盤の村山vs羽生戦です。あのシーンだけでも一見の価値ありなので、是非とも劇場で見ていただけたらなぁと思う原作ファンでしたw
映画「聖の青春」の原作となった小説について
原作となっている「聖の青春」がほぼ事実の通り書いているのですが、それと比べると今回の映画はその内容をかなり凝縮しているのでフィクションの部分も含まれています(映画の最後にも但し書きがありました)。
話を繋ぎ合わせることで時間短縮をしているのでしょうが原作や実際の対戦を知っている人からすると、ちょっと話が違うと感じたかもしれません。凄い映画ではありましたがこればっかりは仕方がないでしょう。
村山は本当は「打倒谷川名人」に向けて将棋を指していました。映画の中では打倒羽生となっているので現実とは少し異なっている印象を受けます。この辺りも細かく描いていたら切りが無いので省略された部分となります。
あと小説の方が村山聖の人生がもっと壮絶で過激だったと個人的には思います。
映画の中では幼少期の頃の話はほとんど無かったのですが、現実には村山聖はほとんど独学、病院の中でアマチュア最高峰の実力を身に付けました。そのあたりの村山の凄さが映画に無かったのは少し残念かも。
あと、森師匠が村山聖がプロ棋士になるためにもの凄い尽力された(将棋人生をかけた活動をしていた)のですがそれも映画の中でなかったので小説読んで森師匠に感動した私としてはちょっと寂しい。
この辺りは今回の映画のテーマから外れているので仕方がないのですけどね、、、。
2時間という限られている時間では描けなかった村山聖やその周りの人間について知りたいという人は小説を読むといいでしょう。映画との共通点や違いも見えてくると思います。
小説の感想については以下の記事を参考にしてください。
「小説を見てから映画」がいいのか「映画を見てから小説」がいいのかは判断が凄く難しいのでお任せします。
村山聖を人生を描いた漫画
村山聖の人生を描いた漫画も出ています。
幼少の頃の村山聖を描いている1巻を2016年12月1日までは試し読みできるサイトがあったので今のうちにチェックするといいでしょう。
1巻では映画では描かれていない村山聖の幼少期が描かれています。幼少の頃は病院に入院していることが多く周りで死ぬ友達も多かった。この頃から村山聖は死とは身近なものであり、常に向き合っていたのでしょう。
試し読みサイト→聖(さとし)-天才・羽生が恐れた男-(Renta!)
映画「聖の青春」のロケ地情報
村山聖が大阪で住んでいた前田アパートやそのすぐ近くにある桜の綺麗な公園、将棋会館、村山聖が好きだった定食屋さんなどの情報もまとめました。
村山聖の人生を感じたい人はロケ地めぐりをするといいかもしれません。今でも前田アパートには入れるかもしれませんよ。将棋指しの間では聖地になっています。
村山聖が好きな定食屋(更級食堂)は、、、映画ではあまり出なかったですね。
羽生と村山の対戦動画
羽生と村山の最後の対決はNHK杯決勝。映画のモデルにもなった対局です。終盤、後手7二歩で勝ちのところを7六角と打ってしまうところが動画の5分20秒辺りに出てきます。この勝利で羽生は村山聖との対戦成績でかろうじて勝ち星が上回ります。それほどにこの2人の対戦成績は拮抗していました(羽生はすさまじく強いので対戦成績が拮抗している棋士はほとんどいません)。
村山聖はこの半年ぐらい後に亡くなられます。村山聖はこの対局の後の5つの対局全てに勝利しており、最後に負けたのが羽生ということになります。この辺りにも運命の巡り合わせを感じます。
映画「聖の青春」の上映館、公式情報など
映画「聖の青春」の上映館や公式サイトなどの情報は以下の通りです。
映画の公式サイト:聖の青春
上映館情報:「この世の片隅に」劇場情報(公式サイト内)
映画「聖の青春」のあらすじ、ネタバレ・感想まとめ
今回は映画「聖の青春」のあらすじ、ネタバレ・感想などをまとめました。良い映画だと思うので是非あなたも映画館で確認してください。小説や漫画もお薦めです。
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